会社の役職のひとつに「執行役員」がありますが、法律上の「役員」には該当しません。
「執行役員」とはどのような役職を指すのか、「取締役」とどう違うのでしょうか。
「執行役員」とは、取締役が決定した会社の方針や重要事項などの「執行・実践」に関する責任を負う役職です。
経営方針に従い、事業運営のトップとして業務執行や運営を担うのが「執行役員」です。
「執行役員制度」は役員の業務を効率化するためのものですが、そもそも「役員」とは誰を指すのでしょう。
「役員」とは一般に、会社法によって定められている取締役、監査役、会計参与を指します。
会社の経営方針や重要事項の決定権を持つのが特徴です。
これに対し、「執行役員」は会社法に定められた「役員」には該当しません。
「執行役員」は社内での役職に過ぎず、法律上は従業員と同じ立場になります。
「執行役員」と「取締役」は、法律上の「役員」に該当するかどうかだけでなく、実際の役割も異なります。
「取締役」は会社の経営に関する責任者であり、経営方針や重要事項に関する決定権を持つ役職です。
これに対し、「執行役員」は業務執行に関する責任者として業務を行います。
経営に関する決定権は持ちません。
「執行役員」は「本部長」などの一つ上の役職とされています。
一般に、「本部長」は各事業部をまとめる「事業本部の長」としての役目を担う存在です。
これに対し、「執行役員」は取締役会で決定された重要事項等を遂行する役目を担う存在ですが、実務執行を取り仕切る役職として「本部長」や「事業部長」が置かれていることも多く、その違いはややわかりづらく、あいまいになりやすいようです。
「執行役」とは、「指名委員会等設置会社」に設置される業務執行機関です。
「執行役」は取締役会により選任され、取締役会に委任された事項の決定や業務執行を行います。
この「執行役」は法改正により2006年より施行されています。
「執行役員」と「執行役」はその役割が似ているものの、性質や立場は全く異なります。
「執行役員」はあくまでも企業が独自に定めるポストで、一従業員としての立場となる点で「執行役」とは区別される存在です。
「執行役員」の任期は1年であることが多いでしょう。この任期を左右するのが契約形態です。
「委任型」と呼ばれる契約形態の場合、業務の裁量権が大きく、独立性や専門性が認められることが多いのが特徴です。
そのため、「委任型」の「執行役員」は任期も自由に定められる傾向にあります。
これに対し「雇用型」では原則として会社側に従う体制が多く、他の従業員同様に定年制となることが多いのが特徴です。
そのため、任期途中でも定年を迎えた場合には退職することもあります。
「執行役員」は一従業員であるため、報酬は「賃金」として支払われるのが一般的です。
「執行役員」は従業員の最高位となるポストであるため、一般には他の従業員よりも多いことが予想されますが、その額や年収は企業によって異なるため、一概に言えないのが実状です。
また、「執行役員」の給与体系を他の従業員とは分けて考える企業もあります。
「執行役員」はいわゆる「役員」ではありませんが、「執行役員」の立場でも非上場企業では取締役会に参加し経営に関与する例もあります。
こうした場合は「みなし役員」、つまり税法上「役員」と同じ扱いとなります。
「執行役員」のポストでも「みなし役員」となった場合、役員報酬が支払われることになるでしょう。
「執行役員」で一従業員としての性質が認められる場合には「雇用保険」の対象となります。
ただし、先述した「みなし役員」となる場合や「委任型」による契約で会社の従業員ではない場合には、雇用保険の対象外です。